■賃料増額請求とは
不動産(土地・建物)をめぐっては、多種多様なトラブルが発生します。
特に、身近なトラブルとして考えられるのが、賃貸借契約にまつわるトラブルです。
賃貸人と賃借人の間で双方の利害が対立すると、法的手段を伴うような紛争が起こることがあります。
ここでは、賃料の増額について、請求するための要件や流れを確認していきます。
●賃料増額請求の要件
賃貸借契約においては、賃貸人が賃借人に対して、賃料の値上げを求めることができます。
これを賃料増額請求といいます。
しかし、賃料増額請求をしたからと言って、必ずそれが認められるわけではありません。
なぜなら、そもそも賃貸借契約が、賃貸人と賃借人との合意に基づくものであり、賃料を値上げすることについても、賃借人からの同意が必要であると考えられるからです。
そのため、お互いが納得すれば、その合意した額に基づいて賃料を値上げすることができます。
しかし、賃借人としては、賃料を増額してほしくないと考えるのが通常であり、拒否されることも容易にあり得ます。
その場合には、一方的に値上げすることは許されず、調停や裁判を行うことで賃料の増額を求めることになります。
また、同意を得ることができない場合であっても、借地借家法の規定に基づいて賃料増額請求を行う方法があります。
借地借家法の32条1項は、土地・建物に対する素材その他の負担の増減や、土地・建物の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動、近傍同種の建物の借賃に比較して不相当になったとき、に該当すれば賃料増額請求が可能であるとしています。
ただし、あくまでもこれらの事情は例示であって、このような事情があるか否かは、実際の状況を総合的に判断して決めることになります。
●賃料増額請求をする際の具体的な流れ・注意点
それでは、具体的に賃料増額請求をする流れを確認していきます。
まずは、賃借人に内容証明郵便で通知を行うなどして、賃料の値上げ交渉を行います。
値上げをすると言われて、賃借人もすぐに答えを出すことは難しいと考えられますので、交渉までに余裕を持って通知をしておくなどの配慮を忘れないようにしましょう。
どうしても当事者同士での話し合いがうまくいかない場合には、裁判所に対して調停を申し立てることも可能です。
裁判をいきなり起こすことはできず、調停を先に行うこととなっている点には注意が必要です。
調停を行ってもなお合意に至らない場合には、裁判を起こすことができます。
裁判官に賃料の増額を認めてもらうためには、裏付けとなる適切な資料を用意する必要があります。
また、賃料増額請求を行う注意点としては、請求を行っている間に更新時期を迎えると、契約や当事者間での合意とは関係なく、法律の定めによって契約が更新されてしまいます。
これを「法定更新」といい、賃料の値上げに同意しないからと言って更新を拒絶することができなくなります。
さらに、法定更新が認められると、その後は期間の定めがなくなるため、更新料も支払ってもらえないということに注意が必要です。
●不動産トラブルに関するご相談は当事務所まで
渋谷徹法律事務所では、文京区をはじめとして、東京都を中心に、幅広くご相談を承っています。不動産トラブルには様々なものが考えられ、特に賃貸借契約をめぐるトラブルは身近な問題です。弁護士は高度な専門知識と豊富な経験を持っていますので、様々な不動産トラブルに対応し円満な問題解決が見込めるでしょう。まずは当事務所までお気軽にお問い合わせください。
賃料増額請求|要件や具体的な流れや注意点など
渋谷徹法律事務所が提供する基礎知識
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