協議離婚ではまとまらなかった場合、家庭裁判所での調停離婚という選択肢があります。
そして調停離婚が成立したら、「調停調書」という書類が作成されます。
調停離婚を考えている場合は、調停調書に関する理解を深めるのも重要です。
今回は、調停調書とはどのような書類なのか、そしてどのような内容が記載されるのかについて解説します。
調停離婚とは
調停離婚は、家庭裁判所での話し合いによって離婚を成立させる方法です。
夫婦のどちらか一方が、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停」を申し立てることで始まります。
調停では、裁判官と調停委員という第三者が夫婦の間に入り、公平な立場で話し合いを進めます。
話し合いがまとまり、夫婦が離婚に合意すれば調停成立です。
協議離婚との違い
協議離婚は、夫婦が当事者だけで話し合って離婚する方法です。
調停委員などの第三者は、話し合いの場に登場しません。
一方、調停離婚は、家庭裁判所を通じて第三者が関与します。
調停調書とは
調停調書とは、調停によって話し合いがまとまったときに、家庭裁判所が作成する正式な記録です。
調停調書に記載される内容
調停調書には、以下のような内容が記載されます。
- 離婚の合意
- 子どもの親権者(未成年の子がいる場合)
- 面会交流の方法
- 養育費の金額と支払方法
- 財産分与や慰謝料などの金銭的取り決め
- 年金分割に関する事項(必要な場合)
上記はすべて、夫婦が調停で合意した内容をもとに記載されます。
話し合いがまとまらなかった項目は記載されません。
調停調書の法的効力
調停調書には、判決と同じ効力があります。
つまり、相手が約束を守らなかった場合には、強制執行の申し立てが可能です。
たとえば、養育費の支払いが滞った場合には、調停調書をもとに相手の給与や財産を差し押さえる手続きができます。
公正証書との違い
調停調書と似たような効力を持つ書類として「公正証書」があります。
どちらも法的効力を持ちますが、作成の流れが異なります。
- 調停調書:家庭裁判所の調停で作成される
- 公正証書:公証役場で作成される
調停調書は、金銭的な取り決めについては、直接的な強制執行が可能です。
ただし面会交流など非金銭的義務は、間接強制により履行を促す方法が取られます。
一方で公正証書の場合、強制執行できるのは養育費や慰謝料などの金銭のみです。
調停調書の作成手続き
調停成立後、家庭裁判所が自動的に調停調書を作成します。
当事者が何か手続きをする必要はありません。
調停調書の写しを入手する方法
調停調書の写しは、後日、家庭裁判所で交付申請をすれば入手可能です。
原本・謄本・抄本・正本のうち、原本以外を入手できます。
手続きには、身分証明書と交付手数料が必要です。
取得した写しは、公的な証明書類として使用できます。
原本・謄本・抄本・正本の違い
前述のように、調停調書の原本は入手できません。
謄本とは、原本の内容をすべて写した文書です。
手続きの内容や、裁判官の判断などが一字一句もれなく写されています。
抄本とは、原本の一部だけを抜き出して写した文書です。
必要な部分だけを記載したものなので、謄本に比べて情報量は少なくなります。
正本とは、原本の内容をすべて写したもので、なおかつ原本と同じ効力を持つ文書です。
主に、強制執行などに使われます。
離婚届の提出について
離婚届と一緒に提出するのは、調停調書の「謄本」です。
市区町村役場に離婚届を提出すれば、戸籍上も正式に離婚が成立します。
離婚届の提出期限は、調停成立から10日以内です。
期限を過ぎると、過料を科される可能性があるので注意が必要です。
調停調書の効力が発揮される場面
調停調書があれば、後のトラブルを回避できる可能性があります。
特に、以下のようなケースで特に役立ちます。
- 養育費の未払いが発生したとき
- 財産分与の内容に争いが生じたとき
- 面会交流の約束が守られなかったとき
前述のように、調停調書は金銭以外の部分にも強制執行の範囲が及びます。
たとえば面会交流の約束が守られないときは、「間接強制」という形で、相手に対して金銭的なプレッシャーをかけて履行を促します。
調停調書の内容変更は可能か
一度作成された調停調書の内容を、後から変更するのは基本的にできません。
家事事件手続法第269条第1項によれば、明白な間違いがあった場合のみ、家庭裁判所の更正決定によって内容を変更できます。
調停調書の謄本が届かない場合の対処法
調停調書の謄本が届かない場合、以下のような原因が考えられます。
- 送付先住所に誤りがあった
- 申立人ではなく、相手方にのみ送付された
- 家庭裁判所での処理がまだ終わっていない
- 謄本は交付申請しなければ受け取れないことを知らなかった
交付申請をしてから謄本が届くまでの期間は、裁判所の混雑状況によって異なりますが、通常は1週間前後です。
郵送でのやり取りの場合は、日数に余裕を持って申請する必要があります。
離婚届の提出期限が迫っているなど、緊急に謄本が必要な場合は、家庭裁判所の窓口でその旨を伝えてください。
まとめ
今回は、調停離婚が成立したときに作成される「調停調書」について解説しました。
調停調書は、離婚に合意した内容を記録する法的に強い効力を持つ文書です。
養育費や面会交流などの取り決めが守られなかった場合でも、強制執行が可能となるため、離婚後にも重要な役割を果たします。
調停調書や法律面で不安があれば、弁護士などの専門家に相談してください。







