不動産の売買といえば、不動産会社に仲介を依頼して買い手や売り手を探すのが一般的な方法です。
しかし、状況によっては不動産会社を介さない個人間売買という選択肢を検討する方もいらっしゃいます。
今回は、個人間での不動産売買を行う場合のメリットとデメリットについて解説します。
個人間での不動産売買
個人間での不動産売買とは、不動産会社の仲介を受けずに売主と買主が直接交渉し、契約を締結する取引形態を指します。
日本の法律において、自己の所有する不動産を特定の誰かに売却すること自体には宅地建物取引士の資格は必要ありません。
個人間売買では、すべての過程を基本的に当事者間のみで進めることになります。
個人間で不動産売買を行う場合のメリット
個人間売買を選択するメリットには、以下のようなものがあります。
仲介手数料が発生しない
仲介業者を通さないで不動産売買を行う代表的なメリットは、仲介手数料を抑えられる点です。
不動産会社に仲介を依頼した場合、法律で定められた上限額の手数料が発生します。
しかし、個人間売買であればこの資金を節約できるため、売主は手取り額を増やし、買主は購入費用を安く抑えることが期待できます。
取引条件を柔軟に決定できる
不動産売買に不動産会社が介在すると、画一的な契約になりがちです。
個人間売買であれば、条件を当事者の事情に合わせて設定できます。
当事者間の状況にあった契約を作成できる点は、メリットといえます。
プライバシーの保護
不動産会社に売却を依頼すると、指定流通機構への登録やインターネット上での広告活動が行われ、近隣の人に売却の事実を知られるリスクが高まります。
個人間売買、特に親族や知人間の取引であれば、内密に手続きを完了させることが可能です。
個人間で不動産売買を行う場合のデメリット
個人間の不動産売買を行う場合、以下のようなデメリットが発生する可能性があります。
住宅ローンの審査が通りにくい
個人間で不動産売買を行うデメリットのひとつとして、住宅ローンの審査が通りにくいことがあります。
不動産会社などを介した不動産売買の場合、重要事項説明書の作成及び買主への説明が必要です。
そのため、住宅ローンの審査時に重要事項説明書を提出することが必須条件となります。
個人間での不動産売買の場合であっても、重要事項説明書の提出を義務付けている金融機関が多いです。
金融機関は住宅を担保として住宅ローンを審査するため、対象となる物件に問題がないかを把握できないと貸し付けを拒否することがあります。
結果として、買主は現金で一括購入できる人に限られるか、あるいは金利の高い一部のローンしか利用できないリスクがあります。
物件の調査不足による将来のトラブル
不動産には、目に見えない多くのリスクが潜んでいます。
たとえば、隣地との境界線が曖昧であったり、都市計画によって利用が制限されていたりする可能性があります。
個人間の売買では詳細な調査が行われない場合もあり、後から契約不適合を理由に当事者間で紛争が発生するリスクが生じます。
事務作業の負担
不動産売買には、多くの書類準備が必要です。
売買契約書の作成はもちろん、登記簿謄本の確認、固定資産税の精算、境界確認書の整備、さらには抵当権抹消の手続きなど、専門知識が必要となるものもあります。
これらをすべて自力で行うには時間と労力がかかり、記載内容に誤りがあれば、登記が受理されなかったり、契約そのものが無効になったりするおそれがあります。
交渉の難航
不動産会社は、不動産売買において価格交渉や不都合な条件の伝達を冷静に仲介してくれます。
個人間では利害が直接ぶつかり合うため、意見が対立すると感情的なこじれに発展しやすいといえます。
不動産の個人売買をするときに行うべきこと
不動産の個人売買を行う場合、トラブルのリスクを下げるには以下を検討してください。
専門家への登記手続きの委託
弁護士や司法書士のような専門家に登記手続きを任せることで、当事者の意思確認などの正確性が高まり、将来的な紛争を防止しやすくなります。
また、申請書類の作成や手続きにかかる負担が軽減されることも期待できます。
そのため、登記手続きの際には弁護士や司法書士に依頼することをおすすめします。
不動産調査の依頼
住宅ローンの利用を検討している場合には、不動産調査を依頼することを検討してください。
不動産調査を行っておくことで、物件の不具合を事前に把握し、契約不適合責任をめぐるトラブルの発生を抑えられます。
弁護士への契約書作成の依頼
不動産売買の仲介は通さずとも、契約書の作成を弁護士に依頼することが有効です。
法的な専門知識を用いて契約を行うことで、トラブル対策となります。
まとめ
今回は、個人間で不動産売買を行う場合のメリット・デメリットについて解説しました。
個人売買には自由度が高いというメリットがありますが、専門家を通さないことによって生じるリスクを考慮する必要があります。
個人間の不動産売買を行う際には、部分的に専門家に依頼することが将来のトラブルを回避するために効果的です。





