遺言や生前贈与によって、特定の相続人や第三者に大きな財産が渡ってしまい、「自分の取り分が極端に少ない」と感じるケースは少なくありません。
法律は一定の相続人に対して最低限保障される取り分、すなわち「遺留分」を認めています。
そして、この権利が侵害された場合に行えるのが「遺留分侵害額請求」です。
今回は、遺留分侵害額請求の基本的な流れを見ていきます。
遺留分侵害額請求の基本的な流れ
遺留分侵害額請求は、以下のような流れで進みます。
①遺留分の有無と侵害額を確認する
②内容証明郵便で請求を行う
③当事者間での交渉を進める
④調停を申し立てる
⑤訴訟(裁判)を起こす
それぞれ確認していきましょう。
①遺留分の有無と侵害額を確認する
まずは、自分が遺留分を持つ相続人に該当するかを確認します。
遺留分を主張できるのは、以下のひとたちです。
- 配偶者
- 子ども(代襲相続人を含む)
- 直系尊属(父母など)
兄弟姉妹には遺留分はありません。
次に、被相続人が残した遺言や生前贈与の内容をもとに、自分の遺留分がどの程度侵害されているのかを計算します。
②内容証明郵便で請求を行う
遺留分を侵害されていることがわかったら、まずは相手方(財産を多く受け取った相続人や受贈者)に対し、内容証明郵便を用いて請求の意思を正式に伝えます。
請求の対象となる金額や根拠を明記しておくと、その後の交渉がスムーズです。
内容証明を送る理由は、口頭やメールでは証拠が残らず「請求していない」と言われかねないためです。
請求の事実を客観的に残すのが、後の交渉や法的手続きで重要な意味を持ちます。
③当事者間での交渉を進める
相手方が請求を受け入れれば、遺留分侵害額請求は合意により解決できます。
通常は金銭の支払いで調整されますが、不動産や株式など分割しにくい資産の場合は評価額の算定をめぐって争いになることも少なくありません。
交渉の段階で話がまとまらなければ、次の法的手続きに進みます。
④調停を申し立てる
交渉が決裂した場合、家庭裁判所に遺留分侵害額請求調停を申し立てることが可能です。
調停では裁判所の調停委員を介して双方の主張を整理し、合意点を探っていきます。
⑤訴訟(裁判)を起こす
調停でも解決できなければ、最終的には訴訟に進みます。
訴訟では、遺産の範囲や評価額、贈与や遺贈の有効性など、法的に争点を整理して裁判官が判決を下します。
まとめ
遺留分侵害額請求は、相続人同士の利害が真正面からぶつかるデリケートな場面です。
手続きを進めるには、遺産の範囲や評価額を正確に把握し、法的に認められる遺留分を明確に主張するのが重要です。
トラブルを最小限に抑え、正当な権利を守るために、早い段階から制度の仕組みを理解しましょう。
必要に応じて弁護士などの専門家の力を借りることをおすすめします。







